人称代名詞 (3) 日本語での人称代名詞|ベトナム語の壁(文法)

2017年2月2日

自分でもくどいほど繰り返し書いていますが、ベトナム語での人称代名詞は、①人称代名詞の数がたくさんある(正直、うんざりするほど。。。)、②「自分」や「相手」を指す語が、話の内容や話をしている相手との関係で頻繁に変化する、という特徴があり、これがベトナム語を学ぶときの大きな壁になります。

「壁」ってどういうこと?と思われるかもしれません。簡単に言えば、通じない、その一言です。頑張って何とかベトナム語(らしきもの)を話してみたのに、つ・う・じ・な・い。そして、相手の言っていることもわからない。これが「壁」なのです。

この壁を乗り越えていかなければ相手に通じるベトナム語は話せません。

ここでは日本語での人称代名詞の使われ方を考え、ベトナム語と比較してみましょう。ここで日本語の使われ方を整理すると、ベトナム語の人称代名詞を攻略するヒントにつながると思います。

では、英語での人称代名詞の使われ方を考えたときと同じく、例文を見てみましょう。

 男:わたし(私)は、あなた(相手の女性のこと)を愛しています。

女:わたし(私)も、あなた(相手の男性のこと)を愛しています。

 

あれ?英語の時と同じ例文。。。

はい、別に手を抜いたわけではなくて、この方が比較しやすいからです。

英語の時と同じく、ベトナム語との比較のため、冒頭で紹介したベトナム語の人称代名詞の二つの特徴に絞って日本語の人称代名詞の使い方を見てみましょう。

①いつでも、「わたし」は自分、「あなた」は相手

英語の時と同じように、日本語でも「わたし」といえば自分のことを指し、「あなた」と言えば相手のことを指します。

②自分を指す人称代名詞は「わたし」以外もある

みなさんは自分のことを普段の会話でどのように呼びますか?

仕事やある程度フォーマルな場ではたいてい「わたし」とか「わたくし」と呼ばれると思います。でも、時と場所によってほかにもいろいろな表現がありますよね。たとえば、

  • ぼく
  • おれ
  • 自分

また、特定の関係にのみ使用できるものとして、

先生(教員が自分の生徒に対して)

などがあります。

お気づきですか?

英語の人称代名詞のページでも書きましたが、英語では基本的に自分のことを指す人称代名詞は"I" (my, me) だけ、相手のことを指す人称代名詞は “you" (your) だけですね。(「基本的に」と書いたのは、英語でも、父親のことをdad, daddy, fatherと言ったり、母親のことをmom, mommy, motherと呼ぶからです。)

でも、日本語には人称代名詞の数は結構あるんです。そして、ここが大切な点ですが、日本人であれば何の迷いもなく複数の人称代名詞を使い分けています。

課長席の前で「この仕事、ぜひわたしにやらせてください!」と意気込んでみせ、

自分の席に戻ったら隣の部下に「オレ、いろいろあるから、この仕事、お前やっておいて」と丸投げし、

続いて携帯を取り出して彼女に「あ、デートの時間?ぼくは何時でもいいからキミに合わせるよ」と調子のいいことをいいます。

「わたし」、「オレ」、「ぼく」、「お前」、「キミ」、これってどういう風に使い分けるのでしょう?

「どういう風にって言われても。。。」と困るくらい、日本人にとっては自然なことですよね。


課長席の前で

「この仕事、ぜひわたしにやらせてください!」

と意気込んでみせたのに、やっぱり別の仕事が終わらなくて、

「課長、ご相談があるのですが。。。」というところを、

「お前、ご相談があるのですが。。。」という日本人はいません。

でも日本語を外国語として学ぶ人の大多数にとって、人称代名詞の使い分けはなかなか難しいと思います。

実は、日本語のこのポイントは、少しベトナム語と似ているのです。ベトナム語から見れば、人称代名詞については、英語よりも日本語の方がベトナム語の方が近いのです。ですから、アインとかという人称代名詞で混乱してしまうことがあっても、元気を出してください!この壁は乗り越えられます!

ではいよいよベトナム語での人称代名詞の使われ方を見てみましょう。

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